組合制度の中で最も数も多く広く普及している「事業協同組合」を例に、組合制度(根拠法「中小企業等協同組合法」)の趣旨・目的を解説いたします。
目 的
事業協同組合は、「中小企業者同士が相互扶助の精神に基づき、組合員企業の経営の合理化や効率化などを図る共同事業を行い、その共同事業を通じて組合員企業の自主的な経済活動を促進し、かつ、その経済的地位の向上を図ること」を目的としています。
基準と原則
組合が備えなければならない4つの基準と2つの運営上の原則があります。
<4つの基準> | |
①相互扶助目的 ②加入脱退の自由 ③議決権・選挙権の平等 ④剰余金配当の基準 | |
<2つの原則> | |
①直接奉仕の原則 ・・・共同事業によって組合員に直接奉仕する。特定の組合員の利益を目的としてはならない ②政治的中立の原則・・・特定の政党のために利用してはならない。 |
組合員
資 格 | 定款で定めた組合の地区内で、資格事業を行う小規模事業者 | |
加 入 | 加入申込書の提出と出資の払込 | |
脱 退 | 自由脱退と法定脱退 | |
権 利 | 組合事業利用権、議決権・選挙権、剰余金配当請求権、役員改選請求権、会計帳簿の閲覧権など | |
義 務 | 出資義務、共同事業利用義務、経費負担義務、定款・規約・総会決議の順守義務など | |
責 任 | 組合員としての責任は出資額を限度とする有限責任です。 |
運営・管理
総 会 | 通常総会(年1回) 臨時総会(随時開催) 普通議決(過半数) 特別議決(3分の2以上) |
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理事会 | 業務執行機関として随時開催 | |
監 事 | 監査機関として独立した権限を持つ 原則は業務監査権あり(通常は会計に限定) |
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役 員 | 定数 理事3人以上 監事1人以上 任期 理事2年以内 監事4年以内 (設立時は1年以内) |
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代表権 | 代表理事1名(副理事長、専務理事等は任意) | |
事務局 | 実務担当機関(総務機能、事務管理機能、業務運営機能) | |
共同事業
- 事業の種類
・共同購買 ・共同受注 ・共同生産・加工 ・市場開拓、販売促進 ・共同検査
・共同販売 ・金融事業、債務保証 ・共同労務管理 ・事務代行
・教育情報提供 ・福利厚生事業 など
※原則として組合員の事業を補完するために行う事業で、組合員の事業活動に関連するものに限られます。
- 員外利用の制限
組合員の利用に支障がない場合に限り、原則、組合員の総利用分量の20%以内(1年間を基準)までは認められます。
出資金
出資金総額 | 最低出資金はありませんが、事業規模に見合った出資金額を設定することが求められます。 | ||
出資1口の金額 | 1口の金額を均一に設定します。(1~10万円など) 最低出資口数を設けることもできます。 |
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持口数の制限 | 1組合員が持てる出資口数は総口数の25%(1/4)以内です。 |
賦課金等
運営管理に用する費用として組合員から賦課金(平等割、差等割等)を徴収することができます。また、共同事業の利用について手数料(応益負担)を設定し徴収できます。
設立の手順
組合を設立するためには、行政庁の認可を受けるなど一定の手続きが必要となります。
組合設立の手続きは、組合の種類によって若干異なりますが、概ね次のような手順で進められます。